赤字・債務超過でも融資を受けるための実践的なアプローチ

財務・会計

「赤字や債務超過だと、銀行からはお金を借りられないのでは?」とご心配されるかもしれません。確かに一般の銀行融資は難しくなりますが、「やり方」「相談先」を工夫すれば、融資を受けられる可能性は十分にあります。

ここでは、厳しい経営状況から脱却し、必要な資金を調達するための具体的なステップを解説します。

ステップ1:【最優先】公的支援機関をフル活用する

赤字・債務超過の企業を支援するために存在するのが、政府系の金融機関や公的な保証制度です。まずはここを徹底的に活用しましょう。

1.日本政策金融公庫(公庫)に相談する

民間銀行との最大の違い: 公庫は、中小企業の育成と支援を目的とする国の金融機関です。赤字企業や創業間もない企業への融資実績が豊富にあります。

狙い目の制度: 景気変動や社会情勢の変化で業績が悪化した企業向けの「セーフティネット貸付」など、困窮度に応じた支援メニューが用意されています。

2.信用保証協会の保証を付ける

効果: 信用保証協会は、企業が銀行から借り入れをする際に公的な「保証人」となってくれます。保証が付くことで、銀行側はリスクを大幅に減らせるため、債務超過など不利な状況でも融資審査に応じやすくなります。

ステップ2:【最も重要】「返せます」という明確な証拠を示す

金融機関が一番知りたいのは、「今は厳しくても、この会社は将来、きちんと返済できるのか?」ということです。これを納得させるための材料を用意します。

1.説得力のある「経営改善計画書」を作成する

融資担当者を納得させる鍵は、以下の3点を盛り込んだ詳細な計画書です。

赤字の原因分析「なぜ赤字になったのか」「何が原因で債務超過なのか」を正直かつ明確に説明します。

改善策と資金使途「融資された資金を何に使うのか」そして「その結果、いつまでに、どのように収益を改善できるのか」を具体的に示します。

黒字化の道筋: 今後数年間の売上、費用、利益、そしてキャッシュフロー(資金の流れ)の予測を提示し、計画的な返済が可能であることを示します。

ステップ3:融資以外の資金調達やリスク軽減策も視野に入れる

緊急で資金が必要な場合や、銀行融資の可能性を高めるために、以下の方法を検討しましょう。

1.資本性の資金調達を行う

増資(資本投入): 経営者個人の資産や、親族・知人からの出資を募り、自己資本(資本金)を増やします。これにより、債務超過を解消または改善でき、企業の財務健全性が高まり、融資の審査に非常に有利に働きます。

資本性劣後ローン: 金融機関から融資を受けるものの、会計上は自己資本に近い扱いができるローンです(公庫や一部の民間銀行が提供)。

2.担保や保証を積極的に活用する

担保の提供: 不動産や有価証券などの担保を提供することで、金融機関のリスクを低減させ、融資を受けやすくする交渉材料となります。

ファクタリング: 売掛金を専門業者に買い取ってもらい、早期に現金化する方法です。自社の決算内容よりも取引先の信用力が重視されるため、赤字でも利用しやすいのが特徴です。

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