決算書(財務諸表)は情報の宝庫ですが、慣れないうちはどこから見ればよいか迷いますよね。まずは「稼ぐ力」「潰れにくさ」「現金の流れ」の3点に絞ってチェックするのが効率的です。
経営者が真っ先に確認すべき、最重要ポイント3点とその改善策を解説します。
1.営業利益(本業で稼ぐ力)
決算書(損益計算書:P/L)の中で最も重要な指標の一つです。売上高から売上原価と販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いたもので、「本業でどれだけ利益を出せたか」を表します。
(1)チェックの視点
売上高が伸びていても、営業利益がマイナス(営業赤字)であれば、本業のビジネスモデルに課題がある可能性が高いです。
(2)計算式
営業利益 = 売上総利益 – 販売費及び一般管理費
(3)数値の改善方法
①売上単価の引き上げ: 商品やサービスの付加価値を高め、価格競争から脱却する。
②原価率の低減: 仕入れルートの見直しや、製造工程の効率化を図る。
③固定費(販管費)の削減: DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化や、不要な広告費・賃料の見直し。
2.自己資本比率(会社の安全性)
貸借対照表(B/S)で確認できる指標です。総資産のうち、返済義務のない「自己資本(純資産)」が占める割合を示し、「会社の中長期的な倒れにくさ」を判断します。
(1)チェックの視点
一般的に40%以上あれば倒産しにくい優良企業、20%を切ると財務状態に注意が必要と言われます。
(2)計算式
自己資本比率 = 純資産/総資産×100
(3)数値の改善方法
①利益剰余金の蓄積: 毎期の利益をしっかり出し、内部留保として積み上げる。
②負債の圧縮: 不要な借入金を返済する。
③資産ののスリム化: 稼働していない固定資産(不動産や設備)や過剰な在庫を売却し、総資産を圧縮する。
3.営業活動によるキャッシュ・フロー(現金の裏付け)
キャッシュ・フロー計算書(C/F)の項目です。損益計算書上の「利益」は、あくまで会計上の数字であり、実際の手元の現金とは一致しません。「本業で実際に現金が入ってきているか」をチェックします。
(1)チェックの視点
営業利益が黒字でも、この項目が大幅なマイナスの場合、代金の回収が遅れているか、在庫が積み上がりすぎている「黒字倒産」のリスクを孕んでいます。原則として**「プラス」**であることが必須です。
(2)数値の改善方法
①売掛金の早期回収: 取引先への請求・回収サイクルを短縮する。
②在庫管理の徹底: 過剰な在庫(棚卸資産)を持たず、適正な在庫量を維持する。
③支払債務のサイクル調整: 支払先との交渉により、支払期限を可能な範囲で延ばす(キャッシュアウトを遅らせる)。
まずはこの3点を比較して、「利益は出ているのに現金がない(黒字倒産リスク)」や「利益はあるが借金が多すぎる(財務不安定)」といった数字の矛盾を見つけるのが決算分析の第一歩です。

