【インタビュー】銀行と本当の意味で仲良くなる方法とは?

インタビュアー: 会社にとって、銀行との付き合い方というのはなかなか難しく感じたり、自信を持てなかったりする部分かと思います。銀行と本当の意味で仲良くなるためには、端的にどのように考えていけばよいのでしょうか?

岸田: 銀行(信用金庫・信用組合も同じです)と仲良くなるためには、これからお話する3つの方法をとっていただければ、融資額が増えたり、困ったときに融資を受けられる確率が上がったりといったメリットがあります。

3つのポイント、すなわち、①自社にとって適切な銀行と付き合う②自社の情報を適切に銀行へ提供する③定期的に銀行を訪問するといったことをしていただければ、銀行と本当の意味で仲良くなれます。

1.自社にとって適切な銀行と付き合う

インタビュアー: そもそも論になりますが、まずは自社にとって適切な金融機関と付き合うことが大事になるのですね。
岸田: そうです。銀行はそれぞれ対象としている顧客がいます。売上高に応じて付き合う銀行を選ぶことがとても大切です。
中小企業だと、地元の第二地方銀行や信用金庫・信用組合などが好ましいです。中には、メガバンクとお付き合いを望む経営者の方もいます。もちろんメガバンクとお付き合いするメリットもあるかと思いますが、世界を舞台に数千億や兆単位でビジネスをやっているメガバンクにとって、売上高が10億円20億円以下の顧客は小口の顧客になってしまい、あまり大事にしてもらえないことになります。

それよりも、自社の売上規模にあった銀行とお付き合いすることで、自社を大切に扱ってもらえることになります。

インタビュアー: 確かに、起業時からしばらくは地元の地方銀行や信用金庫などとのお付き合いが大事という話は耳にすることがあります。
岸田: おっしゃるとおりです。その会社のステージに合わせた銀行と付き合うことも大切です。

2.自社の情報を適切に銀行へ提供する

インタビュアー: 次のポイントが、自社の情報を適切に銀行へ提供する、ですね。自社の経営状況に自信が持てず、できる限り情報を伝えたくないと考えてしまう経営者も多いのではないでしょうか。
岸田: まず、融資の額は銀行へ提供した情報の量に比例すると考えていただいてよいです。決算書はもちろん、事業計画書や月次試算表・会社案内や商品の営業用パンフレットなども提供した方がよいです。

また、銀行へ情報を提供するときは、口頭ではなく書面の方がよいです。会社へ回ってくる渉外担当者は多いと100件ぐらいの会社を顧客として抱えています。訪問時に担当者へ自社の情報を伝えたとしても、その情報が銀行内へ適切に伝わらないこともあります。書面で渡されると銀行へ情報が正確に伝わりやすいです。

インタビュアー: 銀行に形の残る情報として提供することが大事なのですね。
岸田: さらに、不利な情報も提供すると信頼が増します。
インタビュアー: なかなか実践するのが難しいポイントだと思います。

岸田: 確かに、難しいポイントです。やはり経営者の方は、自社にとって不都合な情報だと銀行へ伝えることをためらってしまうことがあります。

しかし、不利な情報をただ伝えるだけでなく、それに対し、会社としてどのように対応していくか、といったことまで伝えることができれば、銀行からの信頼はかえって増すことになります。

3.定期的に銀行を訪問する

インタビュアー: 最後のポイントが、定期的に銀行を訪問するということでしたが、どんなタイミングで、誰を訪問すればよいのでしょうか?
岸田: 銀行へは定期的に訪問して、自社の業況を報告することが信頼関係の強化につながります。そして、誰を訪問すればよいか、ということですが、訪問すべきは、借りている銀行の支店長と貸付担当役席(融資担当役席)です。支店長と貸付担当役席は、融資の判断をする際の重要なキーパーソンにあたります。
インタビュアー: 支店長と貸付担当役席……ですか。
岸田: はい。この方たちにできれば毎月、少なくとも2~3ヵ月程度の頻度で通い、自社の情報を提供することが大切です。キーパーソンが企業の情報をしっかりと把握している状態だと、融資を受けられる可能性があがり、決裁が下りるスピードも速くなる可能性があります。また、お金を借りっぱなしの経営者に比べ、誠実な経営者との印象も与えることができます。本業で実績を出すことはもちろんですが、本業での売上や利益以外の点、例えば、経営者の人間性や事業の価値などの評価を高めることによって、融資の可能性を上げることができます。銀行を訪問し、自社を積極的にアピールすることは、銀行との関係を強化するのに非常に有効な方法になります。

4.銀行と仲良くなるための3つのポイントまとめ

岸田: 以上で述べた①自社にとって適切な銀行と付き合う②自社の情報を適切に銀行へ提供する③定期的に銀行を訪問するという3つのポイントを実践していただければ、銀行からの信頼は増し、銀行と本当の意味で仲良くなることができます。そうすることで、より銀行から融資を受けやすくなります。
インタビュアー: 銀行からは会社の状況がなかなか見えづらいので、そのぶんしっかりと資料やコミュニケーションで関係を構築していくことが大切なのですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
岸田: ありがとうございました。
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